教え子のひとりで、私立中学に八〇分かけて通っていた生徒がいました。彼は、月曜日の通学時間に何をしたと思いますか?週の始まりの日は、何と携帯ゲームの時間に当てたのです。ゲームの日を入れたのは中学生らしいアイデアといえるでしょう。しかし、金曜日とか土曜日の週の終わりに、息抜きをしようと思うのなら理解できます。彼の非凡なところは、月曜日の往復を楽しむことにより、多くの人がブルーになる日曜の夜に、明日の月曜日がくるのを楽しみにする中学、高校生活を送ったというのです。その発想が素晴らしいと思いませんか?通学時間を有効に使ったせいかどうかは定かではありませんが、彼は現役で、東京工業大学の理学部に入学し、物理学を専攻したとの知らせを受けました。通学時間のひととき、普通の生徒はゲームか友人とのおしゃべりで終わります。彼のように、中学受験の難関に挑戦した生徒なら、時間を有効に使う手立てが自ずから身についているわけです。これが、遠距離通学をおすすめするゆえんなのです。